午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

2020-01-01から1年間の記事一覧

日差し

昨日は28歳の誕生日だった。彼女がお祝いに来てくれた。母親からも、郵送でプレゼントが届いた。素敵な一日だった。 今日は、明日締め切りの論文を推敲している。昼過ぎに小休憩をしようと思って、窓から外を見ると、雲から少しの空が見えて、そのうち陽がさ…

箒星

『堀の中の美容室』という漫画を読んだ。女子刑務所のなかにある美容室を描いた小品である。 この漫画を読んで、「向き合う」ということを改めて思い出した。最近自分は向き合っていただろうか、自分はなにと向き合うべきか、と自問した。答えは案外すぐに分…

繰り返しと自由

昨晩から今朝は急に寒くなったので、体調がすぐれない。朝起きて、社会学の学説史を聴講した。今日はジンメルだった。ジンメルの「貨幣の哲学」はとてもおもしろそうだとは思っていたものの、大著であるため読めていなかった。 ジンメルは生の哲学者に数えら…

生き尽くす

11月になった。今年もあと1ヶ月と2/3くらいだ。最近は、相変わらず走っている。今書いている論文の締切が今月末にあるため、ラストスパートをかけている。 今日は、自宅から電車で10分くらいのところにある大阪の天王寺を歩きながら、夕陽を見た。歩きながら…

暗闇

最近、研究がうまくいっていたと思っていたのに、急に奈落の底に落とされたような状況になっている。11月末の論文の締切に間に合うのか、今書いているものを論文として仕上げられるのか、そこへの不安が引き金になり、一気に足場である理論枠組みへの懐疑、…

問い

ここ最近、ずっと走っていた感じがしていたが、今日は家でゆっくりしていた。ゆっくりしていると、いろいろなことを考える。未消化だったあれこれが、自分の理解のなかでゆっくりと場所を与えられて、自分のそれまでの理解と紐付いたひとつの解釈として落ち…

切実さ

10月も終わりに近づいてきた。大阪生活も半年が経った。最近は、太陽の塔やハーベストの丘という堺市にあるローカルな遊園地に行ったりしながら、研究にも精を出している。今住んでいる「あびこ」という場所も、まあまあ気に入っている。 生活は安定し、研究…

組み換え

28歳を目前にして、自分自身が少しずつ生まれ変わっていることを感じる。以前より、背骨で立っている感じがする。それは絶対感であり、自分自身に対するある種の信頼だった。 その背骨を支えているふたつのもの、それは研究と文学だった。小説塾を通して、自…

秋の公園

台風が過ぎ去って、秋にしては暑い日だった。日本学術会議に対する任命拒否の是非で世間は盛り上がり、私のメールボックスにもいろいろな学会が(金太郎飴のように)学術会議の任命拒否に関する声明なるものを発出しているが、私にはそもそも今日における「…

バランス

日曜日の午前中にzoomで開かれていた学会が終わって、毎週日曜日に来てくれていた彼女も今日はこれないということなので、久々の空いた時間にぼうっとしていた。ぼうっとする時間は大切である。それによって、普段溜まっていたフラストレーションや、それに…

運命

秋の夜長に、山下達郎の『kissからはじめるミステリー』を聴きながら、運命についてまじめに考えていた。今はフランスにいる友人がかつて「私の教授は運命論者なんだよね」という話を繰り返ししていたのが妙に印象に残っていた。私は彼女の話を通して間接的…

10月

ふと気がつけば、10月になっていた。大阪へ来てから半年が過ぎていた。COVID-19は相変わらず収束の気配が見えないが、この間私はなにもしていなかったわけでは決してない。なんだかんだで、しっかりと大阪で青春を楽しんでいた。 9月頭に電車と踏切の騒音か…

晴れの日

先日は、友人に「生きるのが苦痛だ」と訴えていた。最近、COVID-19による社会への影響、新天地での「新しい生活様式」、研究のプレッシャー等が降り注いで、ものすごいストレスを感じていた。それはまさに、慢性的な神経痛であった。 しかしながら、そんなギ…

お行儀

最近苦しんでいる閉塞感の理由のひとつに、「お行儀が良すぎる」ということが有るのだと思った。研究費をもらっている大学院生、そんなものに絡め取られてしまっている。そんな(世間的には大したことない)肩書の中ですら、自分は窒息しそうになっている。 …

無意味さ

クンデラの『存在の耐えられない軽さ』を以前読んだのとは別の訳で読んだ。 存在の耐えられない軽さ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-3) 作者:ミラン・クンデラ 発売日: 2008/02/09 メディア: ハードカバー クンデラは何回も完成した作品に手を加えて改稿…

大阪は夜の七時

自分にとって幸福とは、秋の夜長に誰かの帰りを待つことなのかもしれない。抱えている仕事、降りかかる税金、心の苦しみ、そんなもの全部が今はどうでもよかった。とにかく今は、幸せだった。

20代後期

ここ最近、本当に精神を病んでいたが、ようやく回復の兆しがみえてきた。それは、私に生き方の変化を突きつけた。20歳から27歳(以下、20代前期と呼ぼう)まで全力で駆け抜けたが、それがうまくいかなくなってきた。どうやら、パラダイムシフトの時期にさし…

虚しさ

ふとした瞬間に、虚しさを感じる。たった今気がついたのだが、私は虚しさが好きだ。それは傾いた午後の日差しのように、静けさのなかにある。それは私の秘密の友人である。私はそれを優しく愛撫する。からかいたくなるくらいに愛おしい女の子を愛撫するとき…

Flying Away

I decided Flying away, from the yesterday's ground Flying away, from the day I lived Throwing away, any clothes Throwing away, my damn thoughts Getting away, from the life I lived Getting away, from the day I loved Escape from yesterday, f…

内省

「そういうわけで、僕の人生の意味も、目標も、すっかり見失ってしまったんだ」 僕は部屋のなかで、『女の子』に語りかけた。 「そうなのね。じゃあ、どうしたいの」 実態のない、想像上の彼女はいつものように優しく言った。 「ひとつだけ、いいアイデアが…

プミラ

何か新しいことを始めないと気がすまない質(たち)らしい。 引越し先の新しい部屋は少し広く、なんだか寂しい感じがしたので、観葉植物を育ててみることにした。はじめは無印良品に買いに行ったのだが、気に入ったのがなかったためその日は断念した。別の日…

初秋の夜

先程「袋小路」という記事を書いてすぐに、大学へ行った。自分が企画した週1の院生同士の勉強会に出るためだ。これは自分自身の研究のペースを作るためにもともと企画したのだが、いい感じに他の院生もそれに乗っかってくれていて、今は私の手を離れている。…

袋小路

気がつけば、30代まであと2年と2ヶ月ほどになっていた。ここにきて、私は深刻なアイデンティティの危機に陥っていることを自覚した。 その引き金となった大きな理由のひとつは、友人関係がうまくいかなくなってきたことにある。そして彼らは、彼ら自身の落ち…

秋の気配

コロナ禍下でも、確実に季節は進んでいる。35度を超える厳しい夏の暑さのなかでも、微かに秋の気配を感じる。夏から秋に移り変わりつつある。 秋の風から、微かな死の気配が感じられる。私はそれが好きだ。日没の長い影を見るときも、似たような感覚になる。…

8月も気がつけば終わりに近づいている。ここ最近は、女の子の車で海や山に行ったり、彼女の大学にある講堂へ忍び込み、傾いた夕日が差し込む中でピアノを弾いたりしていた。 日が暮れて暗くなっていく部屋のベッドの上で、女の子と無言で寝ていた。彼女は高…

コーヒー

朝起きて、ぼんやりした頭のままコーヒーを淹れて飲む。この時間が一番好きだ(何度同じことを言うのかと思う読者もいるだろう。ちなみに一日中家にいる日のなかで、2番目に好きなのは風呂に入ることである)。昨日の出来事でまだ頭がぼんやりしている。女の…

難破

人生の歓びを知るほど 苦しみもまた倍加する 大嵐の中、難破した船で途方に暮れていた私は 女の子がどこからか落ちてきたことに気がついた 粉々になった頼りない木造の船の影で 私達は歓びに耽った 破産した人生の帳簿 辻褄の合わない、赤字にまみれた人生の…

堕落

雨が降っている。7月ももうすぐ終わるというのに、梅雨はまだ終わっていない。今日から4連休だが、コロナの再拡大の影響もあって私には関係ない。 最近は、堕落の極みである。一日中、ベッドに寝転がっている。たまにオンラインのゼミで、それっぽい文学談義…

黒い川

悲しいニュースが続いている。有名な、年の近い若い俳優が突然自ら命を絶ったという報道は、他の人びとと同様、私の心にも打撃を与えた。とても悲しくなった。それについては、ただ手を合わせるしかない。 ある日の夜、女の子がベッドの上で寝転んでいる横で…

近年では例をみないほど連日雨が降っている。水害が各地で多発している。コロナも再び拡大傾向にある。人びとの心は弱っている。 女の子に出会ってから、忘れていた(あるいは見ないようにしていた)自分の心の底の苦悩を直視するようになった。その苦悩の理…