人生の歓びを知るほど
苦しみもまた倍加する
大嵐の中、難破した船で途方に暮れていた私は
女の子がどこからか落ちてきたことに気がついた
粉々になった頼りない木造の船の影で
私達は歓びに耽った
破産した人生の帳簿
辻褄の合わない、赤字にまみれた人生のなかで
私は女の子と手をつないで寝転んでいた
ひとつになりたいと願うほど
ふたりの身体の間の埋めようのない断絶が
夜の星空のような無限の広がりに感じられた
ただ、墜落した孤独な女の子の内面世界を
少しでも癒すことができたらと願った
たとえ埋められないとわかっていても
それでも私達は手をつなぐ
それは、無限で圧倒的な星空を拒絶する
ちっぽけな人間たちの企てであった