午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

難破

人生の歓びを知るほど

苦しみもまた倍加する

 

大嵐の中、難破した船で途方に暮れていた私は

女の子がどこからか落ちてきたことに気がついた

粉々になった頼りない木造の船の影で

私達は歓びに耽った

 

破産した人生の帳簿

辻褄の合わない、赤字にまみれた人生のなかで

私は女の子と手をつないで寝転んでいた

 

ひとつになりたいと願うほど

ふたりの身体の間の埋めようのない断絶が

夜の星空のような無限の広がりに感じられた

 

ただ、墜落した孤独な女の子の内面世界を

少しでも癒すことができたらと願った

 

たとえ埋められないとわかっていても

それでも私達は手をつなぐ

 

それは、無限で圧倒的な星空を拒絶する

ちっぽけな人間たちの企てであった