午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

コーヒー

朝起きて、ぼんやりした頭のままコーヒーを淹れて飲む。この時間が一番好きだ(何度同じことを言うのかと思う読者もいるだろう。ちなみに一日中家にいる日のなかで、2番目に好きなのは風呂に入ることである)。昨日の出来事でまだ頭がぼんやりしている。女の子が家に来た日の次の日はいつもそうだ。

 

天気が良い。夏の青空が広がる。洗濯をする。シーツを干す。そして、彼女が家に置いていった漫画(『海獣の子供』)を手にとってぱらぱらめくる。

 

ぼんやりとした幸福感に満たされたまま、ベッドの上に寝転がる。昼ごはんになにを食べようか考える。どうせ選択肢は、そうめんとかラーメンとかそんなものしかないのだが(そういえば、そうめんは昨日使ってしまったのだった、と今思い出す)。

 

世の中は驚きと美しさに満ちている、といつも思う。ただそれは、注意深く見なければわからない。視る者の覚悟と優しさがなければ、視られる者はすがたを見せない。そもそも視るもの/視られるものは、二分されるものではない。ただ、出会うたびに驚き、喜び、そして人知れず秘密の笑みをともに浮かべるのである。

 

aikoの『シアワセ』を流しながら、女の子と手を握って少しの間眠りにつく。そこには明日の予定も過去の出来事も、社会的な属性も責任も偏見もなく、ただ寝息と肌の暖かさがあるだけであった。