午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

2023-01-01から1年間の記事一覧

軽さから重さへ

12月になった。近頃は急に寒くなった。思えば、2023年は挫折と幻滅の連続だった。一番大きな幻滅は、自分自身に対してだ。それでも、わたしは生き抜いていかなければならない。 ゼミ終わりに、ひさびさに指導教員の先生と一対一で話した。就職の話になって、…

訴え

まるで、長い夢を見ているようだった。 東京での、2年ぶりの学会発表。品川での弟との再会。そうしている間に病室に訪れた、恋人の学部時代の親友の死。 家でトラウマの本を何冊も読んだ。大学で学生相手に教壇に立って授業をした。恋人が就職先を決めた。カ…

重さと軽さ

昨日、大阪のとある駅構内にある、定食屋に入った。ここに来たのは大学院受験のために大阪に来た日以来で、3年半ぶりだ。以前はひとりだった。しかし、昨日は恋人と一緒にいた。そこで気がついた。ああ、ずいぶんと幸せになったな、と。今が一番幸せだ。そう…

かくれんぼの終わり

暑すぎる夏が、やっと終わりつつある。秋の気配を感じている。 この夏は、研究はあまり進んでいないが、内的な作業はかなり進んだ。自分の生まれから現在までの年表を書くことで、その時の気持ちを救い出していた。この作業は、ネットで見たわけでもなく、心…

生の源泉

最近、ずっと「考える」ということをしていた。ひとつづつ立ち止まって、「自分はどう生きるのか」とか、「友達とはなにか」とか、そうした基本的なことを考えていた。そう、大事なことは、いつも基本的なことである。 同時に、何冊かの本も読んだ。池田晶子…

苦しみを見つめ直す

何事も、直視するということは、とても辛いことだ。 最近は、学会準備等で忙しかった。もっとも、都会にいると、いつだって忙しい。そして季節感がない。今、わたしは、この文章を書くことをひどくためらっている。自分の核心に触れたくないからだ。核心、そ…

寂しさよ

7月になった。大きな入道雲があちらこちらに見える。すっかり夏の空になった。大学の春学期は終わった。そして、盆が近づいてきている。 お盆は、ご先祖様をお迎えする行事だという。お盆の前後は、一年で一番死者の匂いが充満する気がする。けっして、悪い…

ありきたりな人間

懸案だった、ゼミ発表が終わった。わたしは束の間の休憩として、帰ってきてすぐにハイボールの缶を開けた。 ゼミは博論についての発表で、主観的にはうまくいっていなかったため発表資料を作りあぐねていた。資料は長らく白紙のままだった。しかしながら、直…

孤独の起源

最近、Javascriptという言語にハマっている。フロントエンドエンジニアに転職した弟に教えてもらっているのがきっかけだ。 もともとは研究に行き詰まり、さらにアカデミアの就職事情があまりにも耐え難いものであることを知ったので塞ぎ込んでいたところ、今…

モラトリアムの(本当の)終わり

前にブログ記事を書いてから、1ヶ月が経った。その間、農村部で、毎日インタビュー相手のお宅を訪問して、彼らの人生を聴きとった。 わたしにとって、それは本当に面白い経験だった。町ゆく知らない人の人生を知りたいと思っていたことはあったが、それを実…

もーまんたい

昨日までの2週間、丹波篠山市の住宅に滞在しながら、住民の方々にインタビューをおこなっていた。学術的にアウトプットできるかどうかはともかくとして、わたし個人としては大変貴重な経験になった。 静かに、農村地域をまわるうちに、心の傷のかさぶたがと…

掟の前で

2023年がはじまって、23日が経とうとしている。2023年は、沈み込んだ2022年とは異なって、上昇していく年になる……はずだった。しかし、早くも、意気消沈してしまっている。 博論がうまくいかないとか、そういう個別のものではもはやない。フランツ・カフカの…

時代に抗う

博士論文を目の前にして、ずっと行き詰まっていた。しかし、いまになって、突破口を見つけた。そのキーワードは、「時間」である。 「時間を有効に使う」、と言われてすぐに思いつくのは、限られた時間をいかに効率的に使って作業をこなすか、つまり今風に言…