午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

重さと軽さ

昨日、大阪のとある駅構内にある、定食屋に入った。ここに来たのは大学院受験のために大阪に来た日以来で、3年半ぶりだ。以前はひとりだった。しかし、昨日は恋人と一緒にいた。そこで気がついた。ああ、ずいぶんと幸せになったな、と。今が一番幸せだ。そう思った。

 

今日で、学振の任期が切れる。博士課程のあいだの学振特別研究員は、無条件で月20万円と数百万円の研究費がもらえる。もらえるのは、全国の博士課程進学者の1割程度だ。そんな、みんなが憧れる学振をとっていたのだが、わたしの場合、それがずいぶんと重荷になっていた。終わってみて、たしかに金銭的にはかなり苦しくなるものの、身が軽くなった気がして、気分がずいぶんと楽になった。

 

どうも、本来のわたしは、とても「軽い」人間のようだ。人によっては、それを「無責任」ととらえるかもしれない。わたしは旅人、放浪者のような人間である。そんなわたしにパートナーがいることが驚きだ。いままで自分は、社会の一員になろうとして、自分自身にたいして「重い」人間を演じていた。それが苦しかった。

 

だが、そんな自分にたいして昨日、パートナーが「あなたは縛られるっていうことが、本能に近いレベルで無理な人だからね」と言ってくれた。それを聞いて、ありのままの自分が赦された感じがした。そうか、自分は恋人にそれを隠していたつもりだが、バレていたのか。そうか、それはバレるよな、もう3年も一緒にいるんだから。それを分かった上で、わたしと一緒になろうとしているのか。そう思って、なにか、とても重い荷物を降ろした気分になった。