午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

2019-01-01から1年間の記事一覧

「壁」の向こう側

修論その他の作業に追われている(といっても今週は疲れたので原稿を放置していた)。執筆の過程で、「壁」が見えてきた。今まで何度も同じ「壁」にぶち当たり、一度も乗り越えていないという自覚がある。 最初の「壁」は学部時代、小説家を志して文芸誌の編…

匿名

暗い部屋にひとり 昼間だというのに 昨日見た 悪夢の影に怯える 血が流れている 部屋一面に 黒い血は心臓の鼓動に合わせて 広がる 溢れる 誰にも見えない 匿名的な血 人知れず 誰にも認識されず 血を流していることは 雑踏の中 誰にも気づかれない 孤独で言…

「やりたいこと」を探す意義

学部生の頃、「やりたいこと」や「好きなこと」がわからない、と悩んでいる人を多く見た。ちょうどYouTuberがもてはやされてきた時期で、「好きなことで、生きていく」がYouTubeのキャッチコピーであった。 確かに「やりたいこと」を探すのは重要であると思…

内省

ここ数日間、天気が悪かったせいか、どん底に沈んでいたのは昨日書いたとおりだ。そして今日は、天気が良いせいか心配になるくらいハイな気分になっている。様々なアイデアが溢れ出て、自分でも制御しきれない。多幸感にあふれている。そのうちいくつかをこ…

向き合わざるを得ないもの

確か一昨日の昼頃までは、その前日に吉本のお笑いを観たこともあり、幸せな気分だった。ところが昼過ぎくらいになって、本当にささいなことが引き金になって気分が急降下し、落ちるところまで気分が落ちた。思い詰めてしまった。昨日、そして今日はほとんど…

飛び越える

修論プラス博士課程の入学準備も、佳境に入ってきた。双方とも残り1ヶ月程度である。後者は先延ばしを繰り返してなかなか取り組めていなかったが、修論は安定して取り組めている。このまま行けば、少なくとも論文を提出することはできるだろう(先週のドラフ…

心に、ひどい雨が降っている。 疲れ果て、傘は転がり、ただ倒れ込む。

愚かさ

ローマ教皇が広島で祈りを捧げているのをテレビで見た。その目は、宗教者そのものであった。私がかつてカナダのホームステイ先で見た、神について話すイスラム教徒のイラン人ホストファザーと同じ眼であった。 演説を聞いて、人間は本当に愚かだと思った。核…

呼吸

最近はつらい局面にあるせいで、本業はぎりぎり締切に間に合う程度に取り組み、座禅したり仏教書を読んだりしていた。つらいから神や仏にすがるなんて、どうにも都合がいいけれども、おそらく仏教の方もそれで良いと思っていることだろう。 研究室には人が恋…

Suspicious

At night, especially for winter season, the demon whispers to my mind. The nightmare wears one essential question. I cannot get rid of my doubt. The question is, why I should not commit a suicide. I really don't want to do it, but I have n…

承認

人間関係の基本は、承認なのだと思う。 承認とは、「相手がここにいる」ことを認める感情である。 関係がうまくいっていない(と自分が考えている)人がいた。とある事情で、その人とはしばらく一緒にいなければならなかった。その人は、何かに付けて文句を…

擬態

人間のふりをするのが、疲れてきた。ああ、私たちはあまりにも多くのものに縛られている。住民票、社会的な役割等々... なぜ、そこらへんの道路の脇で、全裸で寝てはいけないのだろう(寒いから?)。なぜ、こうしてスタバでMacのディスプレイのなかにある自…

転回

ここ数日、かねてよりの修論の提出締切の多大なプレッシャーに加えて、最近の状況変化により家でのストレスもあり爆発しそうだった。昨日などは眠れなくなり、自分では対処しきれないほどのストレス故に向精神薬に手を出そうとしたものの、昔もらったものを…

曖昧

最近、椎名林檎と宇多田ヒカルがコラボ曲を出した。この二人、どちらも鬼才なのは間違いないが、その違いが面白いと思う。以下は数年前にリリースされた宇多田ヒカルの曲『真夏の通り雨』である。 二人とも、孤独や感じたことを歌っているのには相違ない。し…

運命

秋が深まり、その先の冬がうっすらと予感されるにつれて、気分が揺らぐ。秋の夜に、生命や死といった究極的なことを考えてしまう。それは、ネガティブとも、「落ちている」とも少し違う。しかし、感受性の底なし沼のようなものに嵌ってしまう。 礼文島から名…

assertionからargumentへ

修論のドラフト提出間近にあって、壁にぶつかっていた。 しかし「壁」は、ふとしたきっかけで、乗り越えることはできないにしても相対化される。私の場合、打開のきっかけは友人とのラインであった。「壁」を感じた日の夜、ラインで得たきっかけをもとに満月…

再び東京

ちょうど1ヶ月ぶりに学会で東京を訪れた。主観的には、前に礼文島・東京に行ってから2週間くらいしか経っていないように思える。 今、自分は正念場にある。修士論文の締切が近い。博士課程の院試も受けなければならない。そのために大学院・指導教員を探さな…

「美学への招待」を受けてみる

時間があったので、今朝Kindleで佐々木健一氏の『美学への招待』という本を手にとって、先ほど読了した。 美学への招待 増補版 (中公新書) 作者: 佐々木健一 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2019/07/19 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る …

秋の夜長

秋の夜長に、ビールを飲んでBill Evansを聴いている。久々に、自己肯定感が高い。礼文島・東京から帰ってきて、自分はかつての自由な自分を取り戻した気がする。 礼文島・東京は再会の旅だった。私にとって東京は第二の故郷であり、礼文島は第三の故郷である…

東京

礼文島でのフィールドワーク、東京での2日間の学会が終わって今、夜行バスを待っている。合計で20年以上住んでいる名古屋よりも、5年だけ住んだ東京の方が自分の本当の故郷である気がする。この街では、アイデンティティの形成期にいろいろと考えた。そのと…

星が、空から落ちてきそうだった。再び礼文島の夜空を見上げた。暗闇の中、森に続く道をひとりさまよっていた。 死にたい、と思った。この世界に自分の身体は押しつぶされそうだった。虚しさと苦しさの中に、自分はひとり立っている。残酷なほど、空虚な世の…

自由

最近、修士論文のゴールが見えてきた。「作品が完成しつつある」という強烈な歓びのもとにいる。これは20歳の頃に長編小説を生まれて初めて完成させて以来の感覚だ。作品が閉じつつある。そうなればあとは早い。ジグソーパズルの全体像が見えた時と同じだ。 …

勇気はあるか?

十代の頃に読んだ伊坂幸太郎の小説『モダン・タイムス』に何度も出てくる言葉だ。 先週、McGill大学の社会政策の権威と、同じ研究室の先生と3人で名古屋の焼き鳥屋で飲んだ。今M2である私のPh.Dへの進路の話にもなった。私は悩んでいた。しかし、McGill大学…

閉塞感

人生の転機とやらは、いつ訪れるのだろうか? ただ、見えないコンクリートのような壁に四方八方を固められているような気がする。 自分は今、「悩んでいる」のではない。悩んでいるのは幸せな状態だと思う。答えが出ていないのだから。今の自分を覆っている…

心の隙間について

最近(というかいつも)忙しい。そんななか、帰宅途中の電車の中で、ふと田園風景と夏の夕日が一瞬だけ窓越しに見えた。大勢の帰宅客の隙間に、ジョン・コンスタブルが描いたようなやさしい風景が垣間見えた。 その瞬間、私は<<私>>になった気がした。ほんの…

リベラルの自己矛盾

私にとって衝撃的な事件が起った。 あいちトリエンナーレにおける『表現の不自由展』の中止がそれである。 この騒動があった2日間、たまたま付近でアルバイトをしていた。会場を右翼の街宣車が取り巻き、その後すぐに展示が中止になり、翌日近くの公園で小規…

「ありきたりな」話

最近(というかずっと)研究とは関係のないところで苦しんでいる。 それは、お金がないことだ。 いや、問題はお金がないことではないのかもしれない。 年齢に見合った社会的な「承認」が配分されないことによるストレス、そして将来的にもそれは改善されない…

夜中の雨

真夜中、部屋で雨の音を聴いている。 降り注ぐ雨の存在に私はとても感謝している。 この雨が、今日という日に人類が犯した罪のすべてを洗い流してくれるような気がする。 ばかばかしいほどにくだらない、それゆえに人々にとっては大切な、あらゆる種類の罪た…

地獄のすぐとなりに、光はあるのかもしれない。 ひさびさに、きらきらしたものを見た。 そしてそれは、とてつもない苦しみのすぐ隣にあった。 指導教官が代表者である研究会の会議で、彼の研究に懐疑的な副指導の先生が彼にボロクソに言っていた。当初、私の…

合理的な選択を超えて

どうすれば、パレート最適ではないナッシュ均衡をぶち破れるかと考えて、一つの結論に達した。答えは、バカになることである。 「賢い」というのは、ふつうは良いことであるとされているが、賢い人は、ある一定の範囲で収まってしまうと思う。なぜなら、「賢…