午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

東京

礼文島でのフィールドワーク、東京での2日間の学会が終わって今、夜行バスを待っている。合計で20年以上住んでいる名古屋よりも、5年だけ住んだ東京の方が自分の本当の故郷である気がする。この街では、アイデンティティの形成期にいろいろと考えた。そのときも、そして今も、私は孤独である。

 

誰にも理解されない。理解されないのは自分の状況ではなく、認知についてである。ごく最近、自分は他の人より頭が良いとか悪いとかではなく、そもそも思考回路や意識の対象や範囲がひどく違うことに気がついた。実際、自分の思考回路を丹念に後追いすると、「飛んでいる」。おそらく、自分が特異な認知の領域と、苦手な領域があり、苦手な方を無意識で避けているのだろう。自分が極端に認知している対象もあれば、完全に見過ごしている領域も多い。それが「普通の(平均的な)」人たちとは違うために齟齬が起こるのだ。

 

自分は、思考の中に生きている。未だに「自分が世界の中心である」という認知の方法から抜け出せない。自分にとって、自分の感性や感覚、思考こそが最も大切なものであり、その他のものは二の次である。

 

年々、他人とコミュニケーションがうまく取れなくなってきている。あるいはうまく取れていないことを自覚しつつある。まるでRPGゲームに出てきているキャラクターとしゃべっているようだ。

 

いっそ相手を不意打ちして揺さぶって、本性をさらけ出して嗤いたい。「なぜ嘘をつくんですか〜!」と大声で叫びたい。そのくせ自分のくだらなさは知りたくないという卑怯ものだ。もし真実の鏡のようなものがあって、そこに写った自分を見たら、あまりの小物さに笑ってしまうだろう。あるいは首でもつるか?そうしたらいっそ、鏡ごとぶっ壊してやる。