午後のまどろみ

らくがき未満 / less than sketches

「ありきたりな」話

最近(というかずっと)研究とは関係のないところで苦しんでいる。

それは、お金がないことだ。

 

いや、問題はお金がないことではないのかもしれない。

年齢に見合った社会的な「承認」が配分されないことによるストレス、そして将来的にもそれは改善されないだろうという暗い見通しに苦しんでいるのだと思う。

 

大学院生、あるいは若手研究者の自殺など悲劇のニュースは嫌というほど見る。お金がないと保守的になる。身動きをとる気が失せる。加齢とともに、友達すら減っていくのではないかと漠然と思う。経済的な不安定さ、派遣切りのようなプレカリアート的なパートタイム労働は、本当に人のことをバカにしていると思う。そんな中での消費税10%などたまったものではない。私は微力ながら、今回の参議院選挙で消費税廃止を訴える山本太郎に投票した。

 

しかし、消費税を廃止して、何を財源にすればよいのだろうか?私が思うに、必要なのは法人税ではなく、資本税だ。トマ・ピケティが『21世紀の資本』で言っていたように、資本そのものに課税すべきだ。租税逃れをする資本家を恐れるなら、税務当局は名前を公表すればよい。少なくとも評判が、彼に対するサンクションにはなりうるだろう。若手起業家のような金持ちを礼賛するのではなく、そうした税逃れがいるならバッシングすべきだ。少なくともネットワーク密度が高い日本なら、評判という経路を通して追い出すことも可能だろう。その金で、消費税を廃止すべきだ。

 

また、「新自由主義者」として悪の槍玉にあがっているミルトン・フリードマンだが、彼の「小さな政府」志向には全面的に賛成する。左派が主張するような大きな政府はいらない。大きな政府が結局は制度や配分の硬直化をもたらすのはもはや明らかだろう。福祉国家の失敗は21世紀の今日、目に見えている。夜警国家ベーシックインカム、これだけが新しい政府に必要なものだ。社会は流動化している。予測のできない社会に、大きな政府は合わないだろう。MS-DOSではなく、UNIX流の「small is beautiful」の設計思想がこれからの国家には必要だと思う。

 

繰り返すが、私は山本太郎に一票を入れた。彼はすべての人々が承認される社会を、と政見放送で言っていた。確かに、彼の経済的な主張に私は全く同意しない。彼は従来の左翼と同じく、大きな政府を志向している。しかし、それでもなお、私は彼の根本の思想に賛同する。嘘でもいいから、綺麗事を唱える人が必要である。彼が言った通り、この国は壊れている。それだけは言える。

 

投票しよう。できれば山本太郎に入れよう。