午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

20代後期

ここ最近、本当に精神を病んでいたが、ようやく回復の兆しがみえてきた。それは、私に生き方の変化を突きつけた。20歳から27歳(以下、20代前期と呼ぼう)まで全力で駆け抜けたが、それがうまくいかなくなってきた。どうやら、パラダイムシフトの時期にさしかかっているようだった。

 

20歳のときに出会った女の子に強烈に影響されてから、20代前期、私は可能な限り様々なことに首を突っ込んだ。私は何者かになりたいと強く思った。地域だけ列挙しても、20歳に行ったヨーロッパ、アフリカへの旅行を皮切りに、住んだ地域は横浜、東京、礼文島、名古屋、そして大阪である(おかげで今の免許証の住所欄はてんこ盛りである)。三田文学、福祉事務所のアルス・ノヴァ、東京の調査会社、無職で長崎をはじめとする全国の友人宅をふらふら、日本最北限の島の役場勤務、名古屋で大学院修士、そして大阪で博士。ずいぶん騒がしかった。常に遠くを見ていた。しかし、ここに来て行き詰まり始めた。いつのまにか、自分の意志ではなく、慣習の力によってそうさせられているに過ぎなくなってきた。思ったほど、自分の実力が伸びないこともわかってきた。

 

20代後期、私が自分に望むのは、「静けさ」である。静かな暮らしをしたい。よく自分を制して、遠くよりも近くを見て、焦らずに地道に実力をつける。遠さよりも深さを、見た目の派手さよりも頑健性を自分に求める。なにも考えない、すべてを手放す。そんな20代後期にしたいと今は考えている。