午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

袋小路

気がつけば、30代まであと2年と2ヶ月ほどになっていた。ここにきて、私は深刻なアイデンティティの危機に陥っていることを自覚した。

 

その引き金となった大きな理由のひとつは、友人関係がうまくいかなくなってきたことにある。そして彼らは、彼ら自身の落ち度というよりもむしろ、私自身の問題点を突きつけてきたように感じている。

 

20代、努力を積み重ねてきたつもりだが、結果はほとんど(いや、もしかするとすべて)が「失敗」と評価しなくなるようなものでしかなかった。その挑戦の延長に成功を思い描くことは、難しくなってきていた。自分のやっていることに意味を感じられなくない。それだけではない、あらゆることに意味が感じられない。

 

本屋に平積みになっている「幸せ」のカタログに、自分は当てはまらない。30代ということで、今までは意識しなかった職場での地位や結婚など、無意識にそうしたものが自分の心に圧力をかけている。自分は、できの悪い、社会的責任から逃げているような人間でしかないと自己規定してしまっている(最近、スーツを着ている父親ほどの年齢の男性と話すことを怖がっている自分がいる。怒られるのではないかと思ってしまうのだ)。ありのままの自分のことを受け入れられない。20代前半は若さと小手先の機転でなんとか乗り切ってきたものの、後半になって徐々にそれらは通用しなくなってきた。自分は出来損ないだ、という気持ちだけが強い。もはや、怒る気力もない。ただ世間を消極的に憎むのみである。それでも、20代前半は右肩上がりの未来を想像して、将来のためにと耐えることができた。しかしそうした輝かしい未来が想像できない今、そうした条件のもとにどのように自己を再定義すればよいのだろうか?もはや、生きていく目標はなく、生きる気力もない。「人生」の意味づけが消失してしまった。ただ、社会の搾取や欺瞞、騙し合う毎日に疲れるだけである(そうしないと身ぐるみ剥がされる)。

 

どうしたらいいのだろうか。非常に苦しい。