午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

大阪

再びコロナ

最近は、いろいろとうまくいっていたが、ここにきてまた暗雲がたちこめてきた。大阪府が、再び緊急事態宣言を発令するという事態になって、予定していた来月のフィールド調査が危なくなってきたことがそれだ。研究費はあと2年で切れる。そんななか、フィール…

呪いを解く

最近、NHKのプロフェッショナルでエヴァンゲリオンの作者である庵野監督を見て、思った。「この人、呪われてるな」と。苦しみながら、追い詰められながら制作する彼の姿を見て、最初は制作に呪われているのかと思った。だが、そのあとよくよく考えてみると、…

雨が降りそう

4月になった。常に追われて息をつく間もなかった3月と、忙しい4月中旬の間で、不思議な空白ができている。今の天気は曇りで、雨が降りそうだ。こういう日は、決まってやる気が出なくなる。そして、不思議と文章が書きたくなる。 曇りの日はいつもわたしは調…

2020年度も、あと残すところわずかである。わたしは、溜まった書類に悪態をつきながら、インスタントコーヒーを飲んでいた。 昨日まで、高校の友人が遊びに来ていた。彼とは、地元の大学院に通っていた修士課程のころによくあっていたが、そのときと比べると…

選択と縁

島にいた頃からか、選択と縁の対立について時折考えている。 22歳、学部生のとき、就活で「ご縁があったら」という言葉を頻繁に聞いた。私はその言葉が好きではなかった。「ご縁」という言葉は、なにかを選択できなかったこと、具体的に言えば望み通りの会社…

3月

気がつけば3月になっていた。しかも、もうあと1週間ほどで4月になってしまう頃である。外出はあまりしないが、今日大学に行く途中に桜が少し咲いているのがみえた。 相変わらず、都会のうるささには気が休まらない。しかし、そんななかでもお気に入りのパン…

耕す

とても晴れた土曜日だ。洗濯物を干して、陽の光を浴びていてゆっくりしている。平日はうるさい向かい側の会社も、今日は静かである。さきほど、新しいウイスキーが届いた。 今日は小説を書いていた。今は「小説塾」の2番目の課題の短編に取り組んでいる。締…

再構築

先程15時くらいにブログの記事を書いたあと、カウンセリングに行ってきた。自分のことをセラピストに話すことは、それだけでかなり創造的な作業だった。KJ法を開発した川喜田二郎先生が『発想法』で述べているように、整理することはそれ自体、極めて創造的…

春の気配

2月になった。今日は春のような暖かい陽気さを感じる。ラジオで知ったビッケブランカの『うらら』という曲を聴いている。大阪生活も慣れてきて、落ち着いてきたように思う。 最近、臨床心理士を目指す恋人の勧めで大学でカウンセリングを受けはじめた。通常…

再び緊急事態宣言

2021年になった。大阪に来て9ヶ月が経った。ここにきて、再び緊急事態宣言が発令された。以前発令されたのは、大阪に引っ越したその日だった。 先程まで家にいた彼女を見送り、久々にウイスキーを飲んでいる。部屋にあるアレクサに、「コルトレーンをかけて…

日差し

昨日は28歳の誕生日だった。彼女がお祝いに来てくれた。母親からも、郵送でプレゼントが届いた。素敵な一日だった。 今日は、明日締め切りの論文を推敲している。昼過ぎに小休憩をしようと思って、窓から外を見ると、雲から少しの空が見えて、そのうち陽がさ…

箒星

『堀の中の美容室』という漫画を読んだ。女子刑務所のなかにある美容室を描いた小品である。 この漫画を読んで、「向き合う」ということを改めて思い出した。最近自分は向き合っていただろうか、自分はなにと向き合うべきか、と自問した。答えは案外すぐに分…

繰り返しと自由

昨晩から今朝は急に寒くなったので、体調がすぐれない。朝起きて、社会学の学説史を聴講した。今日はジンメルだった。ジンメルの「貨幣の哲学」はとてもおもしろそうだとは思っていたものの、大著であるため読めていなかった。 ジンメルは生の哲学者に数えら…

生き尽くす

11月になった。今年もあと1ヶ月と2/3くらいだ。最近は、相変わらず走っている。今書いている論文の締切が今月末にあるため、ラストスパートをかけている。 今日は、自宅から電車で10分くらいのところにある大阪の天王寺を歩きながら、夕陽を見た。歩きながら…

暗闇

最近、研究がうまくいっていたと思っていたのに、急に奈落の底に落とされたような状況になっている。11月末の論文の締切に間に合うのか、今書いているものを論文として仕上げられるのか、そこへの不安が引き金になり、一気に足場である理論枠組みへの懐疑、…

問い

ここ最近、ずっと走っていた感じがしていたが、今日は家でゆっくりしていた。ゆっくりしていると、いろいろなことを考える。未消化だったあれこれが、自分の理解のなかでゆっくりと場所を与えられて、自分のそれまでの理解と紐付いたひとつの解釈として落ち…

切実さ

10月も終わりに近づいてきた。大阪生活も半年が経った。最近は、太陽の塔やハーベストの丘という堺市にあるローカルな遊園地に行ったりしながら、研究にも精を出している。今住んでいる「あびこ」という場所も、まあまあ気に入っている。 生活は安定し、研究…

組み換え

28歳を目前にして、自分自身が少しずつ生まれ変わっていることを感じる。以前より、背骨で立っている感じがする。それは絶対感であり、自分自身に対するある種の信頼だった。 その背骨を支えているふたつのもの、それは研究と文学だった。小説塾を通して、自…

秋の公園

台風が過ぎ去って、秋にしては暑い日だった。日本学術会議に対する任命拒否の是非で世間は盛り上がり、私のメールボックスにもいろいろな学会が(金太郎飴のように)学術会議の任命拒否に関する声明なるものを発出しているが、私にはそもそも今日における「…

バランス

日曜日の午前中にzoomで開かれていた学会が終わって、毎週日曜日に来てくれていた彼女も今日はこれないということなので、久々の空いた時間にぼうっとしていた。ぼうっとする時間は大切である。それによって、普段溜まっていたフラストレーションや、それに…

運命

秋の夜長に、山下達郎の『kissからはじめるミステリー』を聴きながら、運命についてまじめに考えていた。今はフランスにいる友人がかつて「私の教授は運命論者なんだよね」という話を繰り返ししていたのが妙に印象に残っていた。私は彼女の話を通して間接的…

10月

ふと気がつけば、10月になっていた。大阪へ来てから半年が過ぎていた。COVID-19は相変わらず収束の気配が見えないが、この間私はなにもしていなかったわけでは決してない。なんだかんだで、しっかりと大阪で青春を楽しんでいた。 9月頭に電車と踏切の騒音か…

晴れの日

先日は、友人に「生きるのが苦痛だ」と訴えていた。最近、COVID-19による社会への影響、新天地での「新しい生活様式」、研究のプレッシャー等が降り注いで、ものすごいストレスを感じていた。それはまさに、慢性的な神経痛であった。 しかしながら、そんなギ…

お行儀

最近苦しんでいる閉塞感の理由のひとつに、「お行儀が良すぎる」ということが有るのだと思った。研究費をもらっている大学院生、そんなものに絡め取られてしまっている。そんな(世間的には大したことない)肩書の中ですら、自分は窒息しそうになっている。 …

無意味さ

クンデラの『存在の耐えられない軽さ』を以前読んだのとは別の訳で読んだ。 存在の耐えられない軽さ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-3) 作者:ミラン・クンデラ 発売日: 2008/02/09 メディア: ハードカバー クンデラは何回も完成した作品に手を加えて改稿…

大阪は夜の七時

自分にとって幸福とは、秋の夜長に誰かの帰りを待つことなのかもしれない。抱えている仕事、降りかかる税金、心の苦しみ、そんなもの全部が今はどうでもよかった。とにかく今は、幸せだった。

虚しさ

ふとした瞬間に、虚しさを感じる。たった今気がついたのだが、私は虚しさが好きだ。それは傾いた午後の日差しのように、静けさのなかにある。それは私の秘密の友人である。私はそれを優しく愛撫する。からかいたくなるくらいに愛おしい女の子を愛撫するとき…

プミラ

何か新しいことを始めないと気がすまない質(たち)らしい。 引越し先の新しい部屋は少し広く、なんだか寂しい感じがしたので、観葉植物を育ててみることにした。はじめは無印良品に買いに行ったのだが、気に入ったのがなかったためその日は断念した。別の日…

初秋の夜

先程「袋小路」という記事を書いてすぐに、大学へ行った。自分が企画した週1の院生同士の勉強会に出るためだ。これは自分自身の研究のペースを作るためにもともと企画したのだが、いい感じに他の院生もそれに乗っかってくれていて、今は私の手を離れている。…

袋小路

気がつけば、30代まであと2年と2ヶ月ほどになっていた。ここにきて、私は深刻なアイデンティティの危機に陥っていることを自覚した。 その引き金となった大きな理由のひとつは、友人関係がうまくいかなくなってきたことにある。そして彼らは、彼ら自身の落ち…