午後のまどろみ

らくがき未満 / less than sketches

お行儀

最近苦しんでいる閉塞感の理由のひとつに、「お行儀が良すぎる」ということが有るのだと思った。研究費をもらっている大学院生、そんなものに絡め取られてしまっている。そんな(世間的には大したことない)肩書の中ですら、自分は窒息しそうになっている。 …

無意味さ

クンデラの『存在の耐えられない軽さ』を以前読んだのとは別の訳で読んだ。 存在の耐えられない軽さ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-3) 作者:ミラン・クンデラ 発売日: 2008/02/09 メディア: ハードカバー クンデラは何回も完成した作品に手を加えて改稿…

大阪は夜の七時

自分にとって幸福とは、秋の夜長に誰かの帰りを待つことなのかもしれない。抱えている仕事、降りかかる税金、心の苦しみ、そんなもの全部が今はどうでもよかった。とにかく今は、幸せだった。

20代後期

ここ最近、本当に精神を病んでいたが、ようやく回復の兆しがみえてきた。それは、私に生き方の変化を突きつけた。20歳から27歳(以下、20代前期と呼ぼう)まで全力で駆け抜けたが、それがうまくいかなくなってきた。どうやら、パラダイムシフトの時期にさし…

虚しさ

ふとした瞬間に、虚しさを感じる。たった今気がついたのだが、私は虚しさが好きだ。それは傾いた午後の日差しのように、静けさのなかにある。それは私の秘密の友人である。私はそれを優しく愛撫する。からかいたくなるくらいに愛おしい女の子を愛撫するとき…

Flying Away

I decided Flying away, from the yesterday's ground Flying away, from the day I lived Throwing away, any clothes Throwing away, my damn thoughts Getting away, from the life I lived Getting away, from the day I loved Escape from yesterday, f…

内省

「そういうわけで、僕の人生の意味も、目標も、すっかり見失ってしまったんだ」 僕は部屋のなかで、『女の子』に語りかけた。 「そうなのね。じゃあ、どうしたいの」 実態のない、想像上の彼女はいつものように優しく言った。 「ひとつだけ、いいアイデアが…

プミラ

何か新しいことを始めないと気がすまない質(たち)らしい。 引越し先の新しい部屋は少し広く、なんだか寂しい感じがしたので、観葉植物を育ててみることにした。はじめは無印良品に買いに行ったのだが、気に入ったのがなかったためその日は断念した。別の日…

初秋の夜

先程「袋小路」という記事を書いてすぐに、大学へ行った。自分が企画した週1の院生同士の勉強会に出るためだ。これは自分自身の研究のペースを作るためにもともと企画したのだが、いい感じに他の院生もそれに乗っかってくれていて、今は私の手を離れている。…

袋小路

気がつけば、30代まであと2年と2ヶ月ほどになっていた。ここにきて、私は深刻なアイデンティティの危機に陥っていることを自覚した。 その引き金となった大きな理由のひとつは、友人関係がうまくいかなくなってきたことにある。そして彼らは、彼ら自身の落ち…

秋の気配

コロナ禍下でも、確実に季節は進んでいる。35度を超える厳しい夏の暑さのなかでも、微かに秋の気配を感じる。夏から秋に移り変わりつつある。 秋の風から、微かな死の気配が感じられる。私はそれが好きだ。日没の長い影を見るときも、似たような感覚になる。…

8月も気がつけば終わりに近づいている。ここ最近は、女の子の車で海や山に行ったり、彼女の大学にある講堂へ忍び込み、傾いた夕日が差し込む中でピアノを弾いたりしていた。 日が暮れて暗くなっていく部屋のベッドの上で、女の子と無言で寝ていた。彼女は高…

コーヒー

朝起きて、ぼんやりした頭のままコーヒーを淹れて飲む。この時間が一番好きだ(何度同じことを言うのかと思う読者もいるだろう。ちなみに一日中家にいる日のなかで、2番目に好きなのは風呂に入ることである)。昨日の出来事でまだ頭がぼんやりしている。女の…

難破

人生の歓びを知るほど 苦しみもまた倍加する 大嵐の中、難破した船で途方に暮れていた私は 女の子がどこからか落ちてきたことに気がついた 粉々になった頼りない木造の船の影で 私達は歓びに耽った 破産した人生の帳簿 辻褄の合わない、赤字にまみれた人生の…

堕落

雨が降っている。7月ももうすぐ終わるというのに、梅雨はまだ終わっていない。今日から4連休だが、コロナの再拡大の影響もあって私には関係ない。 最近は、堕落の極みである。一日中、ベッドに寝転がっている。たまにオンラインのゼミで、それっぽい文学談義…

黒い川

悲しいニュースが続いている。有名な、年の近い若い俳優が突然自ら命を絶ったという報道は、他の人びとと同様、私の心にも打撃を与えた。とても悲しくなった。それについては、ただ手を合わせるしかない。 ある日の夜、女の子がベッドの上で寝転んでいる横で…

近年では例をみないほど連日雨が降っている。水害が各地で多発している。コロナも再び拡大傾向にある。人びとの心は弱っている。 女の子に出会ってから、忘れていた(あるいは見ないようにしていた)自分の心の底の苦悩を直視するようになった。その苦悩の理…

断章

「人生に正解はない」という命題を、以前は呪いであると思っていた。しかし、今の私にとって、それは福音である。「正解なんてなくてよかった」。そう思って人知れず人生の脇道にそれていくのである。

よく視る

休日だったが、オンラインで学会に参加した。(もう、ずっとこのzoomでのスタイルでいいのにと思う)。 このところ、研究が伸び悩んでいて苦しい。「新しい」知見を出すことに苦戦している。まるで産むことをせっつかれているニワトリのようだ。それに社会学…

ピアノ

天気が悪かった。オンラインでゼミが終わった後、疲れ果ててピアノを弾いた。びさびさにのめり込んだ。今日は珍しくドビュッシーを弾いた。『夢』という曲だ。小学生のときにこの曲に耽溺していた。それは今もあまり変わらない。 鍵盤が構成する音色から、私…

日曜日

日曜日の朝、父の日だったので、父親にメッセージを送った。「毎日、大変だと思うけど、一日一日大切に過ごせよ」と返ってきた。少し前だったら、定型句として聞き流していたかもしれない。しかし、父親がこの言葉を実感を込めて本心から言っていることが私…

停滞

雨が降っている。数時間前も同じ書き出しでブログを書いた。あれから、Zoomでゼミがあった。今回は、人の発表を聴いているだけだった。 研究が、停滞している。もうずっとだ。途方に暮れている。今の私にとって、研究は雪かきのようなものである。雪かきをし…

雨が降っている。少し苛立っている。 今、やろうとしている農村研究の先行研究を相変わらず調べているのだが、なかなか自分が使えそうなパラダイムがない。そもそも、今日の社会学は混乱している。共通の理論というものがない。そんななかでも、都市社会学は…

重さと軽さ(2)

いつか重さと軽さについて書いたような気がするので、今回はその続編ということで(2)という文字を付け加えた。 最近勧められて、茶道についての映画である『日日是好日』を観た。そのなかで先生役の樹木希林が「重たいものは軽々と、軽いものは重々しく」…

ラジオ

大阪に引っ越してから、深夜のふとした時間にお酒を飲みながらラジオを聴くことにはまっている。radiko全盛期の現代であるが、私は高校の時(10年前)に買った携帯ラジオを使っている。雑音が入っているのがいい。手回しで周波数を捉える。小さなラジオがし…

わからない

博論を書くために、先行研究を集めていた。私の博論のテーマは過疎農山漁村の地域おこしに関するものである。そのため、「地域おこし」に関する議論をいろいろと読んでいた。 しかし、読んでいて、わからなくなってきた。もとより、「地域おこし」というのが…

考えるって何って聞かれたものだから

数日前、大学時代の友人と議論になった。その詳細は私の個人的な問題に関わるので述べないが、その中で「考える」とはなにかという話になった。 彼は池田晶子が好きなようだ。私は食わず嫌いのような感じで読んでいなかったが、気になったので先ほど大学図書…

紅茶

大人って、めんどくさい。本当はいつだってちょっと面倒見の良さそうな人に全部丸投げしたいところだが、大人として生きていかざるをえないのでなんとかやっている。 研究というのは本当にやることが多い。それにただ研究していればよいというわけでもなく、…

いつの間にか、もう6月だ。紫陽花の花を見てそれに気づく。道端に咲いている花にはあまり関心が向かないが、紫陽花だけは昔から好きだ。そして見れば、案外紫陽花の花というのは方々に植えられている。 直近では一昨日の研究会発表がひとつの山場だったが、…

「丁寧な暮らし」

「丁寧な暮らし」。最近この言葉をよく聞く。はじめて私がこの言葉にであったのは、フィールド調査で有機栽培を行うコミューンのような場所でインタビューしたときだ。 礼文島で2年間田舎暮らしをしてから都会に帰ってきた。20代も後半になってきた。そんな…