午後の雨

らくがき未満

書くことについて

書くことは、対立することなのかもしれない。 書くことを通して、自分自身や、世界と対立し、乗り越えて形にする。 大学院に入学し、修士論文を書くにあたって、早くも壁にぶち当たっている。 その「壁」はいくつもあるのだが、その壁の一番大きな部分はやは…

考え事

礼文島から帰還して、数週間が経った。 大学院の授業までにはまだ間がある。その間、近所を散歩しながら自身の生き方等について考えた。思いついたことを、論理性を無視してとりあえず書いてみる。 -- 自分は変わる。社会も変わる。 しかし、自分の変化はあ…

春、桜

礼文島に移住する前、名古屋城近くの公園で桜を見た。 そのあと、島に移り住んだ最初の日、雪が降っていたのを鮮明に覚えている。 今日、2年ぶりに同じ場所で桜を見にいった。 島から帰ってきてからは1週間が経つ。 自分の中で、ひとつの物語が終わった気が…

違和感

礼文島から去って1週間が経った。 もうすっかり名古屋は春の匂いがする。先週まで礼文島にいたなど嘘のようだ。 歩きながら、考える。自分は20歳の時、何を感じたのか。 何を追い求めていたのか。なぜ礼文島に行ったのか。 20歳の時に三田キャンパスで感じ…

お金という「発明」

東京で4年半暮らしたあと、島で2年間過ごした。 私は学生時代、いわゆる「資本主義」、グローバリズムというものを毛嫌いしていた。 東京で生活していて、労働市場というように、人間も含めたあらゆるものに値札が付いている社会が嫌いで、カール・マルクス…

礼文島から東京へ

島生活が終わった。今は東京にいる。 学生時代、よく歩いていた東京をもう一度散策してみた。 たかが3年前の話なのに、ずいぶんと年月が経ったと思ってしまう。 あのとき、一体自分は何をそんなに悩んでいたのか。 自分とは何か、世界とは何か。 自分はいか…

掴みかけているもの、あるいはまったく掴めそうにないもの

「春の嵐」ー私の住む礼文島にとっては完全に冬の嵐ーが、かなりの量の雪を残して、北海道の北のほうへ去っていった。 島に春が近づくということは、私にとって島を離れる時期が近づいているということだ。事実、あと2週間で私は島を去る。 この島で何を得て…

高踏的な

光を求める私は暗がりの中 見慣れた光景、よくなじんだ思考回路 見た、真っ黒な海に浮かぶ月 高踏的な、世俗に塗れたため息は、 黒い海の底に通じた世界を相対化して とても馬鹿馬鹿しくなった 自分自身とは無関係に ただ月が

何かを捨てるということ

何かを捨てるということは、意外と簡単だ。 人生をやり直したかったら、環境を思い切り変えればいい。 私自身、東京暮らしを捨てて日本最北の離島で仕事を始めた。 しかし、どうしても捨てることのできない、厄介なものがある。 それは、他でもない、自分自…

街角

信号のある交差点の 向かい側に立っている おとなしそうな可愛い女の子は もしかすると いつの日かとんでもない男に自分を奪い去られることを夢見てるのかもしれない 大人になる前 ひどい男に騙されて でもそんな男に限って 澄んだ夜の空の飛び方を 知ってい…

雨の雫

午後の雨が、降りしきる。雨の音を聴いた場所は、東京。または、どこかの国。 雨が降るたびに、微妙に異なる感情を重ね合わせる。 それらは液体にもかかわらず、徐々に堆積して、ひとつの大きな塊となっている。 あるいは私は、悲しむために生まれてきたのか…

名古屋

生き辛さを感じる。 どれほど「あなたは価値のある人間なのよ」と言われても、それをにわかに信じることができない。 この社会で、弾かれている気分になる。 それは、自分が日本社会の一定数の人々が信じている価値規範=「常識」を心の底から嫌っているから…

2018

「一年の計は元旦にあり」ということで、自分の生き方を再検討する。 ここでは、その目的を達成するために、大学時代の友人で現在千葉県いすみ市で地域おこし協力隊をしているAくんと比較する。 Aくんは自分と同様、仕事における自由を求めている。しかし、…

25

19歳でトロントへ短期の語学留学をした。 そのとき先生に将来の希望を聞かれ、「研究者になりたい」と言ったのをふと思い出した。 いつのまにか6年が経った。驚きである。 かなりの紆余曲折があった。 慣れ親しんだ東京の街を去り、北の果ての離島・礼文島で…

東京は夜の7時

今日の気温はマイナス10度 長い冬の夜の始まりは 君に買ってもらったヘッドフォンで音楽を聴く いつだかに、君が買ってくれたウイスキーとともに。 雪のように舞う 真っ暗な冬の夜の、島の記憶のかけら

雪の夜

ひとりになった途端、夜の恐怖と底の深い寂しさに囚われる。 置き去りにされたような感覚、なぜ生きているのかという見たくもない問いかけ。 電話越しの女性は、かつて私が書いた小説を読み返したと話してくれた。それは、かつての私のすべてを封じ込めたも…

斜陽

ベッドに横たわりながら、かすかに傾いた夕日を感じる。 今この瞬間も、我々は死へと向かいつつある。どんなに楽しい瞬間にも、隣には死がひそんでいる。 頭の中には、遠い過去、遠い未来、あるいはあり得たかもしれない別の生活、別の人生に対する強い憧憬…

秋の終わり、あるいは島生活の終わりの始まり

雨予報に反して、晴れた秋の空だった。もうすぐ綺麗な夕日が見られるだろうが、私はあえて家に止まる選択をした。窓から傾いた陽がわずかに差し込んでくる。 島生活も、終わりが近づきつつある。私の頭の中に様々な情景が思い浮かぶ。それらは自分を交点とし…

人生の寄り道

礼文島から一日をかけて、名古屋に戻って来た。束の間の滞在だ。 本屋の中をぐるぐる周りながら、自分の考えの中に没入する。 消費社会の象徴を眺めながら、自分が相手にすべきものを思い出す。 自分にとって礼文島での2年間は、人生の寄り道であった。それ…

荒野のおおかみ

雨が降る中、家の中でヘルマンヘッセ『荒野のおおかみ』を読了した。 今の自分にとって、質の良い文学や芸術は、日常生活から束の間の自由を錯覚させる麻薬のようなものだった。 この2年ほど、日常生活、事務室の規則的なチャイムの音に魂を売り渡すことで今…

生活と人生、あるいはボケとツッコミ

日曜日の昼下がりに、いつもより丁寧にコーヒーを淹れる。開封したばかりの新鮮な豆をミルで挽くと、匂いが広がる。 島の食材を食べ、登山をして、夜にヘルマンヘッセの「荒野のおおかみ」を読む。私の生活は満ち足りたものであるように思えた。 お笑いには…

「桃岩荘」に泊まって感じたこと

礼文島には、「桃岩荘」というユースホステルがある。「日本3大バカユース」と言われており、その歴史は古く、全国的な知名度は高い。 「桃岩荘」は礼文島に住んでいても近寄りがたい存在だ。桃岩荘はただのユースホステルではなく、独特の文化を持っている…

「疎外」

見たくないものを見てしまう。 目をそらしていたものに反逆される。 抑圧していた心の声。 自由に動き回る精神。 欲求が、真理を求めて飛び跳ねる。 本当のこと。嘘を溶かした、むき出しの実存。 丸い真実に、四角い蓋をされた社会。 自分からどんどん離れて…

黒い海

月が綺麗な夜に、黒い海に溺れそうになる。 方向感覚など、とうの昔に失っている。 もがけばもがくほど、泡が出るばかりである。 暗闇に沈む。 しかし、一筋の光が見える。 自らの確信。根拠のない、強烈な光。 そう、心の声を聞くのだ。

稚内

稚内に着いた。日本最北端であるこの街につくと、もの哀しい気分になる。人口3万人の港街で、果てしない孤独を感じる。 今、古びたホテルの一室で、ジャズを聴きながらこの文章を書いている。眠気をこらえながら、何を書きたかったのかと記憶を巡らす。 気分…

東京

「自分は何者なのか?」 馬鹿げた問いの立て方だと思う。しかし、問いかけが頭から離れない。 自分は島で生活に埋没していた。それは退屈でも、都会に帰ってから思い出せばとてもキラキラと輝いていた。島で炭に火をつけていたことなど嘘のように、すました…

土曜の昼下がり

華金を終えて、土曜日の正午近くに目がさめる。 窓を開けて、空が青いことを確認する。 電気もつけないまま、ソファに座り、IPAの瓶を開ける。ビールの味が、舌を通して心地良い憂鬱感と溶け合う。 ベッドの上に再び寝転ぶ。平日の倦怠感を未だに引きずって…

午後の雨

雨が降ってきた。私はジャズを聴きながら、紅茶を手元に置いてゆっくりと本のページを繰っていた。曲の合間にかすかに屋根に当たる雨の音が聞こえてくる。 本を閉じると、目の前に現れたのは礼文島だった。もうすぐ5月。礼文島は観光シーズン本番へと突入し…

自分の中の神話

少し、自分の過去を振り返ってみようと思う。 自分は、記憶の中にひとつの神話を持っている。それは20歳のときの話だ。 大学3年の当時、軍靴ならぬ就活の足音が聞こえてきたころの話。 20歳になった私は、はじめて自分の死、自分の社会的役割、そして人生の…

「生きづらさ」の正体

生きづらい。ひとりの若者として、漠然とそんなことを感じていた。私だけではない。街を歩けば、テレビをつければ、SNSをのぞけば、そこには「生きづらさ」の言説が溢れている。しかし、それはなぜだろう?私は、ずっとその正体について漠然と考えて来た。 …