午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

慌ただしかった2021年度も明日で終わろうとしている。調査から帰ってきたわたしは、もろもろの書類を出すために大学へ向かった。キャンパスに植えられた桜はもうかなり咲いていた。

 

大学では、自分も1章分執筆した学術書と、自分も執筆した報告書を受け取った。いつのまにか、読む側から書く側にまわりつつある。

 

今年度は、ほんとうにいろいろあった。精神的な変化が大きかった。カウンセリングを受けていたからそうなのか、自分自身が変化しようとしているからこのタイミングでカウンセリングを受けることになったのか。

 

楽しいことばかりではなく、つらいこともたくさんあった。しかし、そのつらいことこそが、自分を成長させたのだと思う。思わぬ発見は、そうしたみたくない部分からのほうが多かった。

 

数ヶ月前、気球が飛ぶ村に置き去りにされ、そこで生きていくしかないという夢を見た。不思議なことに、一昨日、調査地の村で、おなじような光景をみた。そこは、いろとりどりのパラグライダーが飛ぶ村だったのだ。夢を見た時点では、そのことは知らなかった。そして、夢に出てきた、はじめ感じがわるいと思っていた女性は、現実世界では新しく調査をコーディネートしてくれた現地の人とそのまま重なった。わたしは、自分にとっての着地点がわからないその調査を引き受けた。きっと、なにかしらの果実を得ることができるだろう。

 

物事は、サイコロのように、さまざまな側面を持っている。いままでの自分は、1の目だけが自分だと思い、表玄関の1の目を自分を含めた他人に見せたいと思い、2の目や3の目が相手を通して出てくると、苦しんだりしていた。調査地に向かう途中の電車のなかで、そのことに気がついた。そのことに気がつくと、2の目や3の目もみようという気になった。現実や出来事もおなじことで、1の目以外の目はなにか、ということを意識的に見る気になった。そういう考えはわたしをずいぶん楽にさせた。他人に少し寛容になった。

 

来年も、きっと大変な年になるだろう。しかし、あまり心配していないやるべきことをやるだけだ。