午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

雲間の光

長い雨の合間、調査旅行から帰ってきて、私は今、生きようとする意志にあふれている気がする。生きようとする意志、それは、雲間に見える太陽の光である。

 

土を踏み、風を感じ、調査を行なう。調査先でさまざまな人に出会い、研究を超えた人生の指針となるような言葉をいただいた。それも、たくさん。そのなかのひとつに「始末する」という関西の商人の言葉をいただいた。はじめと終わりを整えるという意味だそうだ。自分は、島で研究を始めた。もっとたどれば、学部時代、いや、生まれた瞬間に遡れるかもしれない。そうして始めてしまった自分の博論研究、もっと長期的に考えれば自分の人生そのものにたいして、始末をつけることを考え始めるきっかけになった。

 

自分が都会で虚しさを感じた理由、それは、「次」がないからだと思った。都会人は、点になってしまって、先祖から継承し、子孫へつないでいくという感覚がなくなっている。だから、自分が生まれた始点と終点を結んだ線だけが浮遊して、死にたくなってしまう。自分自身の始点と終点を超えた、全体を感じれば、おそらく虚しさというのはずいぶんと減るだろう。

 

力を抜いて、踊ろう。なにも考えずに、舞う。そうしたら、きっといい博士論文になる気がしている。