午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

見ること

人は、見られることを渇望する。そう考えると、世の中の人の動きがけっこう単純なものに見えてくる。

 

見られたいという欲求は、ときに生死に関わるほどの重大ごとである。ありのままの姿を見られないがために、人は苦しみ、疎外を感じ、空虚さを覚え、承認を求めて闘争を繰り広げる。しかし、自分が求めるように見てくれる人などほとんどいない。

 

人は、さまざまな仕方で他人を見る。犯罪者か一般市民か、精神異常者か健常者か。その解釈を一方的に押し付ける力が権力だ。このような視線は街中にあふれているが、そのままの姿を見てくれる人などほとんどいない。

 

愛するとは、つまるところ、相手の在り方そのままを見ること、あるいは見ようとすることだと思う。たとえその形がいびつであっても、法に触れようが、社会通念からはずれようが、それをそのまま見てくれる人は、きっとあなたを愛しているだろう。(見ることと肯定することは別だと思うが。)