引越して5日がたった。まだ部屋にはカーテンが届かず、ローテーブルもないためダンボールで代用している。引っ越した部屋は先の物件大戦争のかいあって、線路が近くて音がうるさいことを除けば大満足である。
大阪物件大戦争の記事:
http://hayatokat.hatenablog.com/entry/2020/03/08/111809
例の新型コロナの件で大学は5/31まで立入禁止、前記の授業はリモートになるなど混乱が続いている。ただ、新生活ではテレビがないため、無用な不安によるストレスはテレビのある生活と比べて少ない。 とはいえ、やはり潜在的な感染者を警戒しながらスーパーに行くのは疲れるというような類のストレスは蓄積していっていると思う(一日にこんなに手洗いばかりしているとは)。それに、コロナとは別にカーテンのない新生活に疲労が溜まっていた。役所も転入届の14日以内という原則は停止されているものの国民健康保険の手続きには行かなければならなかったので(役所はどうやら率先して感染者を増やしたいようだ)、仕方無しに役所へ出向いて転入と国保の手続きをした。
その帰り道、ケーキ屋があったので460円くらいでいちごのショートケーキを買った。家に帰って、買ったばかりのmarimekkoのマグカップに友人が勤める吉祥寺の紅茶専門店の紅茶を注ぎ、別の友人が勤める陶芸美術館の近くで買ったmiyamaの皿の上に先程買ったケーキをのせた。それらをポリ袋をしいたAmazonのダンボールの上に置いて、食べた。食べるだけではもったいないと思い、Instagramにその写真をアップした。
ケーキは、本当に美味しかった。クリームが濃厚で、フレッシュないちごは噛むほどに少し酸っぱい味がする。紅茶も美味しい。奥行きのある味だ。「ふーっ」と一息ついた。疲れている分、余計に美味しく感じられた。ひとことで言えば、幸せだった。
これが例えば、ケーキが100個あればより幸せになるのだろうか。勿論答えは否で、毎日ケーキを食べていたらここまで幸せを感じることはなかっただろう。最近は特に、今までなまじいろいろなことを経験したせいか、ただご飯を食べるだけで幸せを感じる。ああ、今日も暖かい場所でそれなりに美味しいご飯を食べれた。本当に良かった。と同時に、今日ご飯を食べられなかった人たちのことを想うのである。
新型コロナで混乱する世相を憂う人には、原始仏典『ダンマパダ』にある一節
世の中は泡沫(うたかた)のごとしと見よ。世の中はかげろうのごとしと見よ。世の中をこのように観ずる人は、死王もかれを見ることがない。
『ダンマパダ』第170偈(中村元訳)
という言葉を贈りたい。
結局、幸せになるための財産は、心の持ちようである。不幸な経験が、逆に幸せに対する感受性を高める。
こうして、私の慎ましい新生活は始まったのであった。