午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

原点

引っ越しから一週間以上経って、部屋も整ってきた。ただ周知の通りCOVID-19の流行のせいでほとんど外には出ない日々が続いている。

 

修士論文を仕上げてから、研究については燃え尽きと自信喪失を味わう日々だったが、ここに来て筋トレにおける超回復のように恢復しつつある。そんななか、ドクターの学費の減免申請の書類を書かなければならず、これを機会に今までとこれからの自分について考えることになった。

 

そもそも何がしたいんだっけ?なんでこの道に入ったんだっけ?

 

「行き詰まったときは原点に戻る」という誰かの格言が、ここで役に立った。 自分の社会学ととしての原点は、この一冊のハンドブックである。

 

ガイドブック社会調査

ガイドブック社会調査

  • 作者:森岡 清志
  • 発売日: 2007/09/01
  • メディア: 単行本
 

 

この本を片手に、私は礼文島で質問紙調査を設計したのである。この本の編者である森岡先生は高名な都市社会学者であるのだが、本の中で彼は有用な社会調査の必要性を訴え、無駄な調査をするなと何度も警告していた。こうした実践的な研究への志向が、私の志向と一致していた。島で私は何度もこの本を読み、社会調査の専門家になりたいと考えて大学院修士課程に入ったのだった。しかし、修士課程ではなまじ社会学のいろいろな理論(その多くは古臭い)におぼれて、すっかり自分を見失ってしまっていた。

 

「役に立つ研究」を。それが自分のモットーであることを再確認して、次へと進む。おそらく、飯を食うためにも、自分の研究力を鍛錬する他に道はあるまい。

 

おまけ:「初心忘るべからず」という言葉を検索していたら、まさに今の自分にぴったりな記事を見つけた。これは世阿弥の言葉らしい。↓

http://textview.jp/post/culture/11843