午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

やり直し

「青春は永遠に、はじめからのやり直しだ」。

 

ことあるごとに、わたしを救ってくれた岡本太郎の言葉だ。この言葉が、たった今、コロナ禍などでめちゃくちゃになったわたしの調査計画に向き合い、立て直す気力を与えてくれた。

 

この文章を書く直前まで、病みに病んでいた。もう、研究がめちゃくちゃになって久しい。逃げるように修士論文を書いて修士課程を終えたときから、研究費を獲得したり、査読論文を通したりしていたが、それでも自分の研究にまったく納得がいっていなかった。自分は不適格だと思っていたし、ゴミみたいな意味不明な論文しか書けず、実力不足を隠すのに必死で、自分は詐欺師ではないかとすら思っている。

 

来週、やっと二回目のフィールド調査にこぎつけたが、やる気がおきなさすぎて(今回のはすごかった)、もう研究を辞めようかと思った。そもそも、ことあるごとに研究を辞めようかとか言っている人間に、研究をする資格なんてあるのかと思っていた。まわりの大学院生は昼夜問わず研究に打ち込んでいるだろうに(想像)。そして、研究をやめようにも、今からでは就職ないだろうな、そもそも自分には新卒で入った会社を半年で辞めて以来、まともな職歴もない。もう生きていけない、というおなじみの負の思考回路にはまり込んでいた。

 

そこで、落ちるところまで落ちた。すると、面白いことに、自律反発する株価のように、特に理由はわからないがなんだかまたやる気になってきた。もう、調査計画の失敗を素直に認めてしまえ。なんでもいいや。とにかく、できるだけのことをやろう。むしろ、それを逆手に取れるかもしれない。おもしろいことをやりたい。そもそも、自分はいつも不利な持ち札しかなかったが、それをうまく使って逆転してきたではないか。今度はどんな絵を描こう。そういう気分になってきたのだ。

 

やれるところまでやる。青春は、永遠にはじめからのやり直しだ。