午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

八雲ほまれ

昨日、アフリカから帰ってきた旧友と名古屋で2年ぶりに再会した。こころなしか2年前より芯から透明で綺麗になっているように見えた彼女は、マラウイのコーヒー豆と彼女の出身地である島根の銘茶らしい『八雲ほまれ』を私にくれた。

 

捨てるのがもったいないような和紙に包まれた茶葉を取り出して、急須に入れて飲んでみた。普段お茶は飲まないので、YouTubeの解説動画をみながら試行錯誤してみた。一煎、二煎...と温度を変えたりしながらやってみた。当たり前だが、そのたびに味と色が違う。そして、どれも美味しい。心が静まる感じがする。口につけると、自分の心に最近溜め込んでいた身近な人間関係などのストレスなどがすっと身体から外に出ていった。

 

淹れたお茶を飲みながら、初期仏典『ウダーナヴァルガ(ブッダの感興の言葉、中村元訳)』の一節を読んだ。そして少しの間、瞑想した。瞑想を終えた今、心はとても落ち着いている。窓の外の車が通る音などがとても穏やかに聴こえる。Bill Evansのアルバムを流しているが、心にすっと入ってくる。何度も繰り返し聴いているはずの"Autumn Leaves"の一音一音に、新しい意味を発見する。やはり、静寂こそが最上である。

 

ところで仏典では、よく「心をよく気をつけよ」という言葉が出てくる。心がきれいな状態とはある意味日常生活の上では不自然なことであるため、意識的にそうしなければならないということであるだろう。そういう意味では仏教は反自然(nature)的な思想であるように思う。

 

とにかく旧友がくれた奥行きの深いお茶のおかげで、今とても心は落ち着いている。