読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

オフィスと照明

東京

学生時代、私は曇りが非常に嫌いだった。気圧の低下で頭が痛くなるし、(思い込みかもしれないが)呼吸するのが苦しくなる。しかし、オフィスで働き始めた今、私は曇りを好むようになった。雲は、太陽から私の存在を隠してくれるからだ。

オフィスにいると、私は常に白い直線的な照明にさらされる。私には逃げ場がない。長時間、照明の刺々しい針に突き刺されていると、心身が破壊されていくような気がする。

 

以前、心理学の本を読んだとき、「科学によって、人間の微妙で繊細な『もの』は無遠慮に強い光を当てられ、切り刻まれている」と直感的に感じた。それは現代社会一般の傾向なのかもしれない。

 

別の本で、「現代から『妖怪』の住処が駆逐されている」、という話を読んだ。心の闇の部分、あるいは闇にしておきたい部分が、強引に剥がされ、結果、人々は心に「原因不明の」不調をきたす。そんなことが思い浮かぶ。

 

個人を個人たらしめるものは、『秘密』であると思う。『秘密』には、『理解できない』神秘さが伴う。そして、神秘さには論理を超える力がある。人の心の隠すべき『秘密』を作品として昇華して、『科学』に対抗するのが現代の芸術家のなすべきことだと私は思う。

 

広告を非表示にする