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稚内

稚内

長い12月も終わりに近づいている。私は今、礼文島での仕事を納め、実家に帰るために稚内のホテルに滞在している(稚内には空港がある)。気がつけばもう、3ヶ月以上島を出ていなかった。

 

ホテルへ向かう途中、久々に乗るタクシーに戸惑った。金を払ってサービスを受ける。このことにとてつもない疲労と緊張を感じた。礼文島にいた頃は早く都会に戻りたかったのに、都会の空気に触れた途端、自分は早くも理想化された島に帰りたいと願った。

 

稚内のフェリーターミナルにつくといつも、島での生活は夢だったのではないかと思う。それくらい現実感がない。島には裁判所も税務署もない(郵便局やコンビニはあるが)。ホテルで自分の鏡を見ると、髪が伸び放題だったことに気がつき、慌てて美容院を予約する。自分の服装が野暮ったいことにも気がつき、もっと良い服を持ってこればよかったと後悔する。

 

子供の頃から、泊まったホテルの部屋にあるメモ帳に何気ないメッセージを残しておくという変な癖がある。ベッドメイキングの人がそれを見て何か想像するところを勝手に想像するのだ。先ほど、ベッド横に置かれたメモ帳には「then,where should I go ?」と書き残した。それは私自身の心の叫びに他ならない。

 

次、自分はどこへ向かえばいい?答えは未だ、わからない。

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