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美術館のない島で

大人になった少年は、淡い美の光を求めてどこまでも走り続けていた。彼はかつて世界中の美術館を巡った後、都会を飛び出して島に移り住んだのだ。

 

彼の突飛な行動を、あざ笑っている人もいた。以前の彼が持っていた地位や名誉を羨んでいた人間たちは、いなくなった彼の座席を指して得意げに様々なことを語った。しかし彼はあまりにも美を追い求めるのに夢中だったので、そんなことには気がまわらなかった。彼は、渡り鳥のように、自らの感性の赴くままに自由な精神で様々な場所を旅した。

 

ある朝、雲から光が差していた。大人になった少年は、赤紫色の景色のあまりの美しさに息を呑んだ。その暖かみに心癒されるのと同時に、癒されなかったものに思いを馳せた。自分が知った最新の秘密をポケットにしまって、彼は新たな美を求めて冒険の旅へと飛び立っていった。

 

 

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