午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

上昇気流

最近、研究の合間に自分と向き合う時間が多かった。

 

自分が求めているものは何か。それは、もっと、今よりももっともっと上にいくことであることがわかってきた。私はどうやら、上昇志向がかなり強い人間であるようだ。常日頃感じる閉塞感は、上昇志向の裏返しなのだ。

 

自分が小説や投稿論文を書くのは、結局のところ自分が誰かに見つけられたいからだ。才能のある、別の誰かに。

 

結局、自分は誰かとわかりあいたいだけなのだと思う。私がいう「上」というのは、社会的地位や権威、権力や金ではなく、創造性や才能にめぐまれた人たちのコミュニティ(あるいはネットワーク?)だ。そのためなら、自分がやっていることは作家だろうが学者だろうが掃除夫だろうがなんでもいい。ただ頭がいいだけではなくて、驚くような発想とアイデア、美しい才能があると自分が認める人たちに自分の作品を認められたい。

 

そういう人たちに理解されたいという渇望が自分のなかに強くあるようだ。そういう人たちは、目立っている場合もあるが、人混みに紛れている場合も大いにあると思う。過去、そういう人にあったことが2回だけあった(わかりあったと思っただけに、彼女を失った悲しみは何重にも堪え難いものだったが)。

 

考えてみれば、自分の20代はそちらの方面に行くための闘いだった。暗闇の中からひたすらに光を求めていた。そして社会的地位なるものは、もがけばもがくほど下降していった。それでも、自分は自分の才能を信じている。少なくとも、自分自身は自分のことをよく理解している、そういう才能を愛している。結局、残るのは信念だけだ。