午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

まわり道

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レポートを書くのに疲れて、家から出て近くの神社まで散歩した。誰もいない神社である。

 

途中、やはり公園と一体化した小さな神社があった。音楽も聞かず、ただ鳥の声だけを聞いて歩いていた。

その小さな公園=神社に、一本の大木が生えていた。ただそれだけのことに、私はえらく感動した。静かな街、誰もいない昼下がり、日光にきらめく木の葉。

 

神社にたどり着いた。この神社は格式のある、古い神社だ。初詣のときは人で賑わうが、今は誰もいない。境内にある汚い酒屋さんの前の路上に置かれたテーブルを囲んで、いつもはホームレスのような人(失礼?)がそれを囲んで酒盛りをしているが、今日はそれもいない。

(余談だが、私はその前を通るたびに彼らに加わりたいと思う。しかし勇気がない)

 

静かに、ただ歩いてみて、自分は本当に疲れていたのだとわかった。自分でも気がつかない間に、いろいろなことに追い立てられる。しかしよくよく考えてみれば、なぜそんなに急ぐ必要があるのかまったくわからない。都会にいるとは、おそらくそういうことなのだろう。充実しなきゃいけない、予定を埋めなければいけない、なにか成果をださなければいけない...そんなもの、本当は全部やらなくたって死にはしないし、尊厳を保ったまま生きることはできる。声を大きくする必要はないし、そもそも声を発する必要もない。過去の遠い思い出に生きていても一向に構わないし、遠い未来をみてじっとしていても問題ない。

 

注意深く、ただ標識をみれば、「まわり道」にはじまり「止まれ」、「飛び出し注意」...標識は、人生の歩み方を、私たちよりよく知っている。