午後の雨 / Rain in the Afternoon

らくがき未満 / less than sketches

掴みかけているもの、あるいはまったく掴めそうにないもの

春の嵐」ー私の住む礼文島にとっては完全に冬の嵐ーが、かなりの量の雪を残して、北海道の北のほうへ去っていった。

 

島に春が近づくということは、私にとって島を離れる時期が近づいているということだ。事実、あと2週間で私は島を去る。

 

この島で何を得て、何を失ったのか。そんな感傷に浸る間もなく、人生が、「生活」が、降りしきる雪のように重くのしかかってくる。

 

私は、私の中にある限りなく小さな「可能性」にすべてを賭けることにした。おぼろげながらに見えているもの、それを形にする方に人生そのものをかけることにした。

 

人はいずれ死ぬ。慣性で回る「生活」の中の尖った生命力=創造力。

 

一瞬の力にすべてをかける。この、密やかで「知的」な遊戯、命を賭けた限りなく刺激的な企みを、私は他に知らない。