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19歳でトロントへ短期の語学留学をした。
そのとき先生に将来の希望を聞かれ、「研究者になりたい」と言ったのをふと思い出した。
いつのまにか6年が経った。驚きである。
かなりの紆余曲折があった。
慣れ親しんだ東京の街を去り、北の果ての離島・礼文島で2年間を過ごした。
そして、結局私は当初の希望に向かって進みはじめた。
まだ、スタート地点にたってもいないのに、突然暗くなることがある。
まわりの成功している(ようにみえる)友人たちを見て焦ったりもする。
自分の人生のテーマ、それは20歳のときに認識したそのままだ。
自分にとって生きることとは表現することである。
私は芸術と科学に身を捧げたいと思っている。
科学とは明らかにすることであり、芸術とは隠すことである。
光を当てることと暗がりに隠すこと。
自分にはその両方が必要なのだ。
それで自分の内面のバランスをなんとか保つことができる。
自分がいかほどの人間なのかはまだわからない。
「まだわからない」のは若さの特権であると思っている。
とにかく、前へ進むしかない。