華金を終えて、土曜日の正午近くに目がさめる。
窓を開けて、空が青いことを確認する。
電気もつけないまま、ソファに座り、IPAの瓶を開ける。
ビールの味が、舌を通して心地良い憂鬱感と溶け合う。
ベッドの上に再び寝転ぶ。平日の倦怠感を未だに引きずっている。
くだらないと思いながら、昨日の飲み会のことを思い出す。
「いつか、自分の人生を劇的に変えてしまうような、素晴らしい女性に会えないだろうか」
天井を見つめながらそう思う。
一方で、「別に、昨日の飲み会のようなくだらない生活でもいい」とも考える。
自分は、人生を楽しんでいる方だとは思う。だからこそ昔から「死にたくない」という思いが人一倍強かった。それは、お気に入りの映画が終わってほしくない感覚と似ている。
自分の人生に向けて語りかけてくる声は、「死にたくない」という強い感情なのだ。
死ぬ前に何かをしたい。何かを残したい。自分はいつか必ず死ぬ。
動かしがたい事実が、私の人生に「意味」を要求する。
ベッド脇の壁にもたれかかった。
音楽を聴きながら、静かに2本目のビールの瓶を空けた。