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午後の雨

らくがき未満

仙台

仙台に来て数日が経った。私は今、東北大学附属図書館の近くにあるカフェ『モーツアルト』でこの文章を書いている。しかし店名とは異なり、今、カフェでかかっているのはショパンの24曲のプレリュードである。現在『雨だれ』に差し掛かったところだ。ちょうど、窓の外を見ても、冷たい雨が秋めいたキャンプ場のような広大なキャンパスに降り注いでいる。

 

京都にいた頃はまだ紅葉の初めだったが、仙台市街近郊の作並や定義、青葉通の木々はすでに紅葉の盛りである。私自身、仙台に旅行に来るのは4度目なので、自分から主体的に観光する気にもならず、かといって特に何もすることが思い浮かばないまま、友人と会う以外は無為な日々を送っている。無気力な身体と精神を引きずって、大学図書館に置かれた雑誌を拾い読みするのが最近の趣味だ。興味の赴くままに適当に流し読みして気だるい時間を過ごす。

 

その中でも特に気になったのが東日本大震災の調査である。仙台空港から仙台駅へと電車で移動した際、車窓から仮設住宅が見えたときは、「あ、まだ仮設ってあるんだ」と何気なく思ったが、震災直後に学生ボランティアに行った自身の記憶を想起した程度で、その時は気にとめなかった。しかし昨日の朝食時に、『河北新報(仙台の地方紙)』で家賃が無料である仮設住宅から経済的な理由で出られない多くの人々がいることを指摘する記事を読んで以来、地下鉄の新路線を建設し、活況を呈している仙台の街を見ながらも、震災のことが心のどこかで引っかかっていた。

 

雨の日にはコーヒーがよく似合う。私は目を閉じて、カフェのスピーカーから流れるショパンの『アンダンテ・スピアナート』に耳を傾けながら、憂鬱な午後の気分を愉しむことにした。

 

 

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