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午後の雨

らくがき未満

京都

東京の下宿を手放して、長崎で居候生活を始めてから数日が経った。

長崎から京都に飛んだ。京都御所の近くに部屋を間借りし、 気の赴くままに同志社大学のラウンジでくつろいだり、四条や「哲学の道」沿いにあるカフェで物思いに耽ったりする。時間の許す限り、出されたお茶を飲みながら、ゆったりと本を読む。世話好きそうなカフェの女性と帰り際に談笑する。

 

京都ほど町歩きに適した街は無い。何気なく通りかかる小さな店が面白い。

東京の下宿先を家具も含めてすべて処分した際は、我ながら何を考えているのかと思ったが、今となっては手放して正解だと思えるようになった。私は、風のように、つかの間の自由を楽しんでいる。

 

紅葉の秋が近づいてきている。お寺を巡り、石庭を見て、「日本人は静粛を好むのか」と月並みな感想を抱いて納得した顔をする。金閣は分かりやすいが、私は質素な銀閣の方が良いと思う。

銀閣から哲学の道を歩き、南禅寺へとたどり着く。平日の、シーズンでない今は人もまばらで、聞こえるのは鳥の声、川のせせらぎ、赤くなりはじめた木々がそよ風に揺れる音くらいである。夕日に照らされた木々はとても美しい。この世には美しいものが多すぎて、その何千分の一も書き留めることができない。私はため息をつく。

 

まだ来て数日ほどしか経っていないが、早くも私は京都の複雑な世界に魅せられつつあるのかもしれない。

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