長崎くんちは終わった。
くんちを見物した後も、なかにし礼の『長崎ぶらぶら節』を読みながら、くんち、そして長崎という町の余韻に浸っていた。
本を閉じると、丸山の遊郭から自宅のリビングへと意識が戻る。
窓の外を見ると、長崎は秋晴れだった。女の子は仕事に行ってしまったので、私だけが部屋に残っている。
他人と暮らすのはとても面白い。寂しさや孤独も紛れる。しかし彼女は私のすべてを知っている訳ではない。私も同様だ。
他人に理解されたい、しかし理解されることが困難な私が私の中にいると思う。孤独、あるいは秘密と言い換えてもいいのかもしれない。伝わらないと知りながらも、伝えたい気持ちが抑えがたいものとなったとき、人はどう振る舞うのだろうか。