稚内に着いた。日本最北端であるこの街につくと、もの哀しい気分になる。人口3万人の港街で、果てしない孤独を感じる。
今、古びたホテルの一室で、ジャズを聴きながらこの文章を書いている。眠気をこらえながら、何を書きたかったのかと記憶を巡らす。
気分がいいと思った矢先、どん底まで気分が落ち込むことがある。今がまさにそんな状態だ。
人生に絶望する。数分前まで、自分の人生は幸福だと思っていたのに。その間、具体的な何かがあったわけではない。強いて言えば、昼から夜になったということだ。
自分は、一体何を追い求めて来たのか?それは、かつての友人の偶像か?
自分は、自分の力を信じている。
世の中には、友達がいて、結婚して、幸せになりたいと思う人が大勢いる。そのような小さな幸せ(petit bonheur)はとても素晴らしいと思う。
しかしどうやら、自分はそれだけでは満足できないらしい。
「100人いたら、ひとりくらい、自分を超えた大きなものに人生を捧げる人間がいてもいいじゃないか」。
自分が求めているもの、それは精神の自由と思考の独立である。その先に、独創性があるのだと思う。独創性とは、生命の源泉に他ならない。そして、独創性が私を行動へと駆り立てる。
私は結局、時折自分を襲うニヒリズムを退けるような「生きる意味」を作り出そうと、もがいているのだ。